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相続税

相続税申告の期限は10カ月以内!過ぎた場合のペナルティーと延長特例

相続税申告の期限は10カ月以内!過ぎた場合のペナルティーと延長特例

親族が亡くなり、悲しみに暮れる間もなく直面するのが「相続」という複雑な手続きです。葬儀を執り行い、財産を調べて相続人で協議をしたり、相続登記をしたりと、同時に複数の手続きを進めなければなりません。その中でも、相続税申告は、定められた期限を意識して準備を進める必要があります。

相続税申告の期限は、「死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。この期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生するだけでなく、本来使えるはずの特例が適用できなくなる可能性があります。

この記事では、相続税申告の期限の基本的なルールから、過ぎた場合のリスク、やむを得ない事情で期限を延長する場合まで、ポイントを解説します。

相続税申告の期限は、死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内

起算日となる「相続開始を知った日」とは?

相続税申告の期限は、「被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

ここで注意すべきは、単に「死亡した日から10ヶ月」ではないという点です。原則としては「死亡日=死亡を知った日」となることがほとんどですが、例えば疎遠になっていた親族が孤独死をしており、警察や親族からの連絡で後日になって初めて死亡の事実を知ったようなケースでは、「その事実を知った日」が起算日となります。

例えば、被相続人が「1月15日」に亡くなった事実を同日に知った場合、翌日の1月16日から起算し、10ヶ月後の「11月15日」が相続税申告の期限となります。

相続税申告の期限の末日が土日・祝日の場合の特例

計算上の相続税申告の期限が、土・日・国民の祝日など該当する場合は、その翌日(提出先である税務署の開庁日)が実際の申告期限になります。

例えば、10ヶ月目の該当する日が11月3日(文化の日・祝日)であり、翌日4日が日曜日であった場合、翌々日の11月5日(月曜日)が期限となります。ただし、期限ギリギリでの手続きは書類の不備等があった場合に対処できなくなるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

納付期限も申告と同日となる点に注意

相続税申告の期限で注意したいのが、「申告書を提出する日」と「税金を納める日」の違いです。

相続税の手続きにおいては、「申告書の提出期限」と「税金の納付期限」は同じ日(死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内)に設定されています。申告書だけを税務署に提出して安心し、納付を後回しにしてしまうと、後述する「延滞税」がかかる可能性があります。

参考:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」

相続税申告の期限を過ぎたらどうなる?

もしも相続税申告の期限である「10ヶ月以内」に申告や納付が完了しなかった場合、ペナルティーが科せられます。「知らなかった」では通用しません。ここでは、期限を過ぎてしまった場合に起こりうることについて解説します。

無申告加算税の発生

相続税申告の期限までに申告・納付をしなかった場合、本来納めるべき本税に加えて「無申告加算税」が課されます。

その加算される税率は、申告のタイミングによって異なります。また、令和5年度税制改正により、無申告加算税率は厳格化され、税率が引き上げられました。申告期限が令和6年(2024年)1月1日以降のものについては、下記の税率で課されます。

1)申告期限から1カ月以上遅れてしまい、かつ税務署からの指摘(税務調査等)を受ける前に自主的に申告をした場合

  • 5%が加算

2)税務調査の事前通知後〜税務調査を受けるまでに申告した場合

  • 納付すべき税額が50万円までの部分:10%
  • 納付すべき税額が50万円を超える部分:15%
  • 納付すべき税額が300万円を超える部分:25%

3)税務調査後に申告した場合

  • 納付すべき税額が50万円までの部分:15%
  • 納付すべき税額が50万円を超える部分:20%
  • 納付すべき税額が300万円を超える部分:30%

無申告加算税は、相続税額が高いほど、加算税額も高くなります。本来の税額が1000万円だった場合、数百万円単位の無申告加算税が上乗せされる可能性があるため、注意が必要です。

また、「申告が遅れても無申告加算税が免除されるケース」も存在します。以下をすべて満たした場合は、無申告加算税が免除されます。

  • 期限から1か月以内に自主的に相続税申告をしている
  • 期限後申告に係る税金を、法定納期限までに全額納付している
  • 過去5年間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがない
  • 過去5年間に、この免除規定の適用を受けていない

延滞税の発生

申告期限(=納付期限)までに相続税を納付しなかった場合、利息に相当する「延滞税」が日割りで発生します。延滞税は、申告が遅れた場合だけでなく、申告はしたが納付が遅れた場合にも課されます。

延滞税の税率は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは「原則として年7.3%」、2ヶ月を経過した日以降は「原則として年14.6%」という利率が設定されています。時間が経てば経つほど膨れ上がっていくため、期限を過ぎてしまった場合は一日も早く納付しましょう。

税額を軽減する各種特例(小規模宅地等の特例など)が使えなくなる

相続税申告の期限を過ぎることによるデメリットは、加算税や延滞税だけではありません。大きなデメリットとして、「特例が適用できなくなること」も挙げられます。相続税には、税額を引き下げる特例が用意されています。代表的なものが以下の2つです。

  • 配偶者の税額軽減:
    配偶者が相続した財産のうち、法定相続分または1億6,000万円のどちらか多い金額までは相続税が非課税になる。
  • 小規模宅地等の特例:
    被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地を相続する場合、一定の要件を満たせば、その土地の評価額を最大80%減額できる。

これらの特例が使えなかった場合、本来であればゼロで済んだはずの相続税が数千万円単位で発生する可能性もあります。特例を適用する際は、原則として「相続税申告の期限までに遺産分割協議を終え、適切な申告書を提出すること」が適用条件となっています。「遺産分割協議がまとまらず、期限内の申告が難しい」という場合は、後述の「未分割申告」を行うことで、後から訂正して申告することができます。

遺産分割が相続税申告の期限に間に合わない場合の対処法

相続時には、「相続税申告の期限が迫っているのに、相続人同士の意見が対立して遺産分割協議がまとまらない」というトラブルも起こり得ます。その際にできる「未分割申告」の流れについて解説します。

1.法定相続分で仮申告・納税を行う

遺産分割が10ヶ月の期限に間に合わない場合、まずは「一旦、すべての遺産を民法で定められた法定相続分で分割したと仮定」して相続税の計算を行い、期限内に申告書を提出し、納税まで済ませる必要があります。
この未分割申告の時点では、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった税額軽減特例を適用することができないため注意が必要です。

2.「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出

特例を後から適用し相続税を修正するためには、未分割申告の際に、申告書と一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を提出します。

3.遺産分割成立後に「更正の請求」または「修正申告」を行う

「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出したうえで、無事に期限から3年以内に遺産分割協議が成立した場合、その成立した日の翌日から4ヶ月以内に、税務署に対して「更正の請求」という手続きを行います。
逆に、実際の分割割合が法定相続分と異なり、自分が取得した財産が増えて本来の税額よりも少なかったことが判明した場合は、不足分を追加で納める「修正申告」を行う必要があります。

「更生の請求」または「修正申告」の際には各種特例を適用できますが、原則として申告期限から3年以内に分割があった場合のみのため、期限を意識して遺産分割協議を進める必要があります。

参考:国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」

相続税申告の期限を延長できる「特例」とは?

相続税の申告遅れには金銭的なデメリットが生じるため、期限は厳守するべきです。しかし、どうしても期限内の申告が物理的・法的に不可能な「やむを得ない事情」がある場合に限り、期限を延長することが法律で認められています。

申告期限の延長が認められるケース

単に「忙しかったから」「遺産分割協議が長引いて意見がまとまらないから」といった個人的な理由では、期限の延長は認められていません。延長が認められるのは、主に以下のようなケースに限られます。

自然災害等があった場合

地震、台風、津波などの自然災害などの影響により、申告の準備ができない場合、災害等の理由がやんだ日から2ヶ月以内の範囲で期限の延長が認められます。地域指定で一括延長される場合と、個別に申請して延長が認められる場合があります。

相続人の異動(認知、廃除など)があった場合

被相続人が亡くなった後になって、遺言書による認知(隠し子の判明)があったり、相続人の廃除(または廃除の取り消し)が行われたりした場合、法定相続人の数や顔ぶれが変わり、基礎控除額の再計算が必要になります。このような事由が生じた場合、その事由が生じたことを知った日の翌日から2ヶ月以内まで申告期限が延長されます。

相続財産額に変動があった場合

遺贈に係る遺言書が発見されるなど、申告期限間近に財産額が変動した場合も、その確定を知った日の翌日から2ヶ月以内の延長が認められるケースがあります。

期限延長の手続き方法と注意点

期限の延長を受けるためには、原則として「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を、所轄の税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。

注意すべきは、前述した通り「遺産分割の争い」は延長の事由にはならないということです。また、延長申請を行ったからと言って必ず延長できるとは限りません。税務署が認めた場合のみ、期限の延長ができるため、基本的には延長せずとも相続申告請・納付できるように準備を進めておく必要があります。

参考:国税庁「C1-15、H1-22 災害による申告、納付等の期限延長申請」

相続税申告を期限内に終えるための手続きスケジュール

相続税申告の期限である10ヶ月は、長く感じられるかもしれませんが、実際には様々な手続きを並行して行わなければならず、あっという間に過ぎてしまいます。以下に、一般的な相続手続きの流れとご紹介します。(必要な手続きは状況によって異なりますので、ご自身の状況に合わせてご確認ください。)

【死亡後7日以内】死亡届の提出

被相続人が亡くなった事実を知った日から7日以内に、市区町村役場へ「死亡届」を提出します。同時に葬儀の手配を行います。

【死亡後3ヶ月以内】相続人の確定・遺言書の確認・遺産の洗い出し

葬儀を終えたら、遺産分割の手続きに進みます。遺産の洗い出しと遺言書を確認し、戸籍を集めて相続人の確認を行います。

【死亡後4ヶ月以内】準確定申告

被相続人に確定申告の必要があった場合、相続人が代わりに亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得金額と税額を計算し、税務署へ申告・納税しなければなりません。これを準確定申告と言います。「相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内」に申告と納税を行います。

【死亡後10ヶ月以内】遺産分割協議と相続税申告・納付

相続人の確定(戸籍収集)、相続財産の調査および評価を終えた上で、誰が何を相続するかを決める「遺産分割協議」を行います。全員の合意が得られたら「遺産分割協議書」を作成し、これに基づいて相続税申告書を作成、「10ヶ月以内」の期限までに税務署へ提出し、納税まで完了させます。

相続手続きの流れについては、「相続手続きの流れ」ページにて詳しく解説をしています。

また、相続人の範囲や、相続税の特例などについては、「相続税とは?基礎控除の仕組みから計算方式まで解説」の記事も併せてご覧ください。

まとめ:相続税申告の期限は厳守!早めの準備で円滑な相続を

相続税申告の期限は、「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。この期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といったペナルティーが課されるだけでなく、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減といった特例を受けることができなくなり、支払う税金が大幅に増えるリスクがあります。

ご家族が遺した資産を、ペナルティーで減らすことなくスムーズに次世代へ引き継ぐためには、相続が発生した直後から計画的に動き出すことが何よりも重要です。とはいえ、大切なご家族とのお別れをした直後に慣れない手続きを進めるのは、精神的な負担が大きいものです。

新潟相続のとびらでは、新潟に縁のある皆さまの相続のお悩みに寄り添い、未来のとびらを開く選択肢を相続の専門家として幅広くご提案させていただきます。
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八百板 誠

八百板 誠 税理士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー

税理士法人万代つばさ 代表

新潟相続のとびらでは、私自身の税務署勤務時代のノウハウ、税理士・行政書士としてのスキルや経験、そして、弁護士や司法書士、土地家屋調査士といった各分野の専門家とのネットワークを生かし、幅広い相続のお悩みを解決に導いています。お客様の未来につながる選択をサポートできるよう、できるだけ複数の解決策を提示いたします。どうぞお気軽にご相談ください。

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