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相続の教科書

遺産分割

兄弟の遺産を相続できるのはどんな場合?法定相続人のルールや注意点を解説

兄弟の遺産を相続できるのはどんな場合?法定相続人のルールや注意点を解説

ご自身の兄弟が亡くなった場合、遺産はどのように分割されるかご存知でしょうか?「誰が相続人になる?」「どのような手続きが必要?」など、初めて相続に直面する方は特に、多くの疑問や不安を感じることでしょう。

本記事では、兄弟が死亡した場合の遺産分割について、法定相続人の範囲から遺産分割の流れ、そして注意すべきポイントまでを解説します。複雑な相続手続きをスムーズに進めるための第一歩として、ぜひ本記事をお役立てください。

自身の兄弟が死亡した場合、法定相続人は誰になるのか?

法定相続人とは、民法で定められた「亡くなった方の財産を相続する権利を持つ人」のことです。遺言書がない場合、法定相続人が遺産分割協議を行い、誰が何を相続するかを決定します。

法定相続人の順位

民法では、遺産を相続する優先順位が定められています。亡くなった方(被相続人)の配偶者は常に相続人となり、それ以外の方については以下の順位で相続権が発生します。

常に相続人になる:被相続人の配偶者

第一順位:被相続人の子

第二順位:被相続人の父母、祖父母など(直系尊属)

第三順位:被相続人の兄弟姉妹(代襲相続人を含む)

第一順位の人がいない場合は第二順位の人、第一・第二順位の人が誰もいない場合は第三順位の人へと相続権が移ります。同じ順位の人が複数いる場合は、原則として均等に相続します。

参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
関連記事:法定相続人とは誰を指す?範囲・順位・確認時の注意点を解説

被相続人の兄弟が相続できるのはどんな時か

1.「兄弟に相続させる」という遺言書がある場合

被相続人の遺言書に、「兄弟に相続させる」と記載されていた場合は、兄弟が相続することができます。この場合は、被相続人に子(第一順位)や直系尊属(第二順位)がいたとしても、兄弟に相続権があります。

ただし、配偶者や子、直系尊属には「遺留分」が認められるため、たとえ遺言書があってもすべての資産を兄弟が相続することはできません。詳しくは「兄弟には遺留分が認められない」をご覧ください。

2.被相続人に配偶者がいて、子と直系尊属がいない場合

被相続人に配偶者がいて、子(第一順位)と直系尊属(第二順位)がいない場合は、第三順位である兄弟に相続権が移動します。そのため、配偶者と兄弟で遺産を相続します。

民法では、相続する際の目安となる「法定相続分」という割合が定められています。ただし、あくまで目安のため必ずしもこの割合を守る必要はありません。

このケースでの法定相続分は、「配偶者が4分の3、兄弟が4分の1」です。兄弟が複数人いる場合は、兄弟の割合をさらに人数で分けます。

例えば、法定相続人が「配偶者」「被相続人の兄」「被相続人の妹」の3人で、遺産総額が4,000万円の場合、法定相続分通りに分配すると、配偶者は3,000万円、兄は500万円、妹は500万円という計算になります。
関連記事:相続順位はどのように決まるのか?相続割合の目安「法定相続分」をわかりやすく解説

3.被相続人に配偶者・子供・直系尊属がいない場合

被相続人に配偶者がおらず、子(第一順位)と直系尊属(第二順位)もいない場合は、第三順位である兄弟に相続権が移動します。そのため、兄弟ですべての遺産を相続します。

このケースでの法定相続分は、「兄弟全員で全部」です。兄弟が複数人いる場合は、兄弟全員ですべての遺産を分配します。

4.被相続人の子・直系尊属全員が相続放棄をした場合

相続権のある人が相続放棄をした場合、相続権は次の優先順位の人に移ります。そのため、第一順位・第二順位の全員が相続放棄をした場合は、兄弟がすべてを相続することができます。

参考:政府広報オンライン「知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】】」

相続人になったら?兄弟の遺産分割の流れ

兄弟が亡くなり自身が法定相続人となった場合、遺産分割を行わなければなりません。基本的な遺産分割の流れは、他の相続の場合と変わりません。

ステップ1:戸籍収集

まずは、誰が相続人となるのかを戸籍謄本などを収集して確定させる必要があります。被相続人の出生から死亡までの戸籍、法定相続人の全員の戸籍、戸籍除籍謄本などを取得し、他に相続人がいないかを確認します。

ステップ2:法定相続人の確定

集めた戸籍を元に、法定相続人を確定させます。この後の遺産分割協議では、法定相続人全員の合意が必要なため、相続人の漏れがないようにしましょう。

ステップ3:遺言の有無の確認

法定相続人が確定したら、被相続人の遺言の有無を確認します。遺言がある場合は、その通りに遺産を分け合います。

遺言がない場合は、法定相続人の間で遺産分割協議を行います。

ステップ4:遺産分割協議、協議書の作成

亡くなった兄弟がどのような財産を残したのかを調査します。預貯金、不動産(住宅・土地・収益物件)、生命保険、株・投資信託などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も把握することが重要です。

相続人と遺産の全容が確定したら、相続人全員でどのように遺産を分割するかを話し合います。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議は、相続人全員の合意によって成立します。もし、遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所で調停することになります。

そして、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類が遺産分割協議書です。この協議書には、相続人全員の署名と実印の捺印が必要です。不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなど、その後の相続手続きに必要な重要な書類となりますので、正確に作成する必要があります。

なお、相続登記を進める際には、相続人全員の印鑑証明書が必要となるため、こちらもあわせて準備をしましょう。

ステップ5:遺産整理

遺産分割協議書の内容に基づき、不動産の名義変更や金融機関での手続きを行います。

詳しい流れは「相続手続きの進め方|相続発生から遺産整理までの流れを税理士が解説します」もご覧ください。

兄弟が相続する場合の注意点

疎遠な兄弟がいる場合

兄弟が複数人いる場合、兄弟全員が相続人となります。そのため、長年連絡を取っていない兄弟も相続人に含まれます。遺産分割協議には相続人全員の参加が必要であるため、疎遠な兄弟とも連絡を取り、話し合いを行う必要があります。

やりとりが難しい場合は、弁護士に間に入ってもらうなどして相続手続きを進めます。また、兄弟の所在が分からない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうことで、相続手続きを進められます。

代襲相続が発生する場合

被相続人の兄弟が法定相続人になり、かつ被相続人の他にすでに亡くなっている兄弟に子(被相続人にとっての甥姪)がいる場合、その甥姪が代襲相続人となります。

例えば、自分(長男A)・亡くなった被相続人(次男B)・既に亡くなっている兄弟(三男C)の3人兄弟の場合、三男Cの子が代襲相続人となります。つまり、三男Cに子が1人いる場合、法定相続人は自分(長男A)と甥姪(三男Cの子)の2人が該当します。

甥姪の存在を把握していなかったり、連絡先がわからなかったりする場合もあるため、注意が必要です。

関連記事:代襲相続を詳しく解説!相続割合や範囲をチェックして事前に賢く対策!

兄弟には遺留分が認められない

遺留分とは、兄弟以外の法定相続人に認められた、最低限の遺産を相続できる権利のことです。

被相続人が遺言書で「全財産を特定の第三者に相続させる」などと指定した場合でも、一定の範囲の相続人には法律で保障された最低限の取り分(遺留分)が確保されています。これが遺留分制度です。この「一定範囲の相続人」は、配偶者・子・直系尊属です。

兄弟は含まれていないため、もし「第三者に相続させる」旨の遺言書が残っていた場合には、遺留分のない兄弟は相続することができません。

相続放棄をする場合は、3カ月以内に手続きが必要

相続財産に借金が多いなど、相続したくない理由がある場合は、相続放棄という選択肢があります。相続放棄とは、資産(プラスの財産)も、負債(マイナスの財産)もすべて相続しないということです。相続放棄の期間は、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内と定められています。

相続手続きを専門家に頼む場合、どのようなサポートが受けられる?

複雑な相続手続きを専門家に依頼することで、多岐にわたるサポートを受けることができます。新潟相続のとびらでは、下記のサービスを提供し、相続手続きを支援いたします。

戸籍収集の代行

相続人の確定に必要な戸籍を、税理士や行政書士が依頼者の代理として各自治体に請求いたします。

財産調査のサポート

死亡日現在の残高証明の代理請求、生命保険金の契約者死亡による解約返戻金の有無の助言、入院給付金の請求などをサポートします。

相続税の試算・申告書の作成

将来的な二次相続を踏まえたり、売却予定の不動産を考慮したりと、あらゆる可能性に向き合いながら、相続税に関する総合的なアドバイスを行います。

遺産分割協議書の作成

遺言書の内容通りに遺産分割する場合には、遺産分割協議書は不要ですが、記載のない財産が発覚した場合には必要になります。

遺産整理

遺産整理は、基本的には相続人が行います。ただし、窓口で相続や金融の専門用語で説明される場合が多いため、サポートのご希望があれば同行します。

他にも、新潟相続のとびらが行っているサービス・ご相談の流れについて詳しくはこちらをご覧ください。

 

兄弟の相続は早めの相談が大切

本記事では、兄弟が死亡した場合の遺産分割の流れや注意点について解説しました。相続は、予期せず突然発生することがあります。もし、ご自身の兄弟に万が一のことがあった場合や、将来の相続に不安を感じている場合は、早めに専門家にご相談いただくことをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、スムーズな遺産分割と、その後の生活の安定につながります。

新潟相続のとびらでは、新潟で暮らす皆さまの相続のお悩みに寄り添い、未来のとびらを開く選択肢を、相続の専門家として幅広くご提案させていただきます。

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